先日、柏崎市の松雲山荘歴史・自然講座(ガイド養成講座)が開催されました。その講師として当社社長が庭園解説を担当しました。
この庭園は蓮池周作、軍一郎の親子二代の作庭ですが、当社社長は周作の孫に当たります。
庭園観賞の心得、松雲山荘についてガイド講習資料を一部ご紹介します。今月末から紅葉ライトアップが始まりますので、この庭園の歴史・観賞のポイントを押さえて足を運んでみてはいかがでしょうか?
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2012.10.18更新
先日、柏崎市の松雲山荘歴史・自然講座(ガイド養成講座)が開催されました。その講師として当社社長が庭園解説を担当しました。
この庭園は蓮池周作、軍一郎の親子二代の作庭ですが、当社社長は周作の孫に当たります。
庭園観賞の心得、松雲山荘についてガイド講習資料を一部ご紹介します。今月末から紅葉ライトアップが始まりますので、この庭園の歴史・観賞のポイントを押さえて足を運んでみてはいかがでしょうか?
※左の写真は松雲山荘入口の注意書です。
松雲山荘は紅葉のシーズンとなると柏崎の多くの人が訪れる名園です。近年はライトアップされ夜間も紅葉を楽しむ事が出来る様になりました。松雲山荘は自然の松山を利用して造られました。壮大な山荘は春の芽吹き、夏の木陰、秋の紅葉、冬の静寂と一年を通して楽しめる庭です。
二段の富山神通川産の玉石垣、綺麗に刈り込まれたドウダンツツジの生垣、そして独創的な門柱、なだらかなスロープの広い園路、わくわくする様な期待感を抱かせてくれます。スロープの突き当りには上の池からのあまり水が流れ出る小滝があり、この庭の水の景色が始まります。自然の地形を利用してあるため、地表水の処理が大切な要素であると思われます。園路の脇に細かい水路を設け排水があちこちに見られます。
中段は東屋、古井戸、茶道美術館入口、池泉回遊式の庭でこの山荘の中心です。東屋から見る庭、広場のベンチで見る庭、池の礼拝石から見る庭と、色々な目線で見る庭はそれぞれ見ごたえのある庭園風景が見てとれます。奥行きのある二段の滝は水景のある時は見事な水の景観を作り出し作者の心意気を感じこの庭の中心であると思われます。
また仙台石の水落石が組み込まれた滝石組が見所です。池の中島へは土橋を渡り、見上げると、その懐の深い滝口が見てとれます。三本の橋、五重の塔、そして自然の杉の立木、縦と横の線のバランスの良さもこの庭の見所の一つです。
木村茶道美術館の下、棚田を思わせる様な石垣の風景、この山荘のあちこちに見られる地石のくずれ積の石垣、そして稲荷大社を見上げながら上段へ。
上段の平場は松林、サツキの植込み、そして趣の違った創作灯籠が要所要所に据えられ気持ちを和らげてくれ、木漏れ日を浴びながらゆっくりと散策ができます。四季折々に味わい深い名園ですが特に深紅に彩られる季節は最高に趣のある庭園となります。
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玉石敷の石畳、浮月橋を渡り、中島へ、土橋を降り、右に曲がり沢渡石を伝って滝下へ。見上げる滝は奥行、幅、そして高さ5メートルはあろうか、2段落しの滝石組、豪快で神秘的な雰囲気を醸し出しています。水落石、水受石、分水石、木葉返し石と役石も見事に配置され古き滝石組手法が表れています。
そして水落石右側には蓬莱神仙思想で招福的な働きを持つ仙人の棲むという洞窟を表わした洞窟石組も造られ、この滝口の神秘性を尚一層盛り上げている様に感じます。(また、この洞窟石組は上段の石積みの中にも見られます。)
滝つぼに控える熊、カエル、亀の石物も周りの雰囲気に自然になじんで仙人をお守りしているように感じられます。 また、滝石組で地石と地石のつなぎに、川石で表現できない奥深さ、石を大きく見せる組石に浅間石の石組が多く見られます。鬼押出しで有名な浅間山附近で産出された浅間石を庭石として使用する技法は、柏崎地方で明治時代から伝承される伝統的石組の技法といわれていました。
滝上の朱塗りの飛紅橋(太鼓橋)より池泉全体を見下ろすと、地石で組まれた野趣味たっぷりの護岸石組が見てとれます。中島の脇、水中に見られる丸石は蓬莱山に見立てた岩島なのか、見事な浮石に見られます。見所、季節により新しい発見のできる奥の深い池泉庭園です。
市内加納、光賢寺に顕彰碑を兼ねた墓のある通称、松屋爺さんこと相澤熊蔵は刈羽郡庭師の祖といわれています。
徳川家及び諸侯のお出入りの庭師でしたが、明治維新で社会情勢が一変し、諸国流浪の旅に出て、明治初年47才の時に妻キセさんが土合村出身だったことから、妻の郷里柏崎に落ち着きました。これを期に平岡から妻の姓である相澤を名乗るようになりました。
各所の築庭に携わるかたわら弟子を養成し、現在、柏崎刈羽の庭師といわれる人は大部分がこの人の流れを汲んでいるといわれています。蓮池周作もこの松屋爺さんの11人の弟子の1人です。
蓮池周作、軍一郎の作庭は現在も松雲山荘をはじめ柏崎の一般住宅に数多く残されているのは周知の通りです。また、喬柏園庭園(楼閣式築山風池泉回遊式庭園)これも周作の作品です。平成19年中越沖地震後、解体され現在は更地になっています。
松雲山荘ではたくさんの灯籠が据えられています。
どの灯籠も味のあるものばかり。庭園を散歩される時はいろいろな形の灯籠を眺めるのも楽しいかもしれません。
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